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  • 不動産における人工知能の展望:スタートアップが創る不動産テックの未来

  • 2023/02/16 20:39 公開  Agya Ventures
  • 【サンフランシスコ2023年2月16日PR Newswire】不動産テック、ブロックチェーン、人工知能(AI)、サステナビリティーに注力しているベンチャーキャピタルAgya Ventures(Agya Ventures )は、AIの出現で、検索、リスティングから住宅ローン、建設、サステナビリティーに至るまで、不動産テックで重要とされてきたやり取りが省略されるようになると言い切る。

    Agya VenturesのKunal Lunawat共同創業者兼マネジングパートナーは「AIは不動産に1世代に1度のチャンスをもたらしている」「不動産は50兆ドル以上の資産クラスで、世界経済の重要な推進力の1つだ。そのスケールの大きさとタイミングを考えると、不動産テック起業家には大きなチャンスがある」と語った。

    ▽不動産テックのチャンス

    不動産テック・サイクルの初期に最も価値の高かった企業のいくつかは、不動産テックのサブセクターで以下に挙げるような重要なステークホルダー価値を生み出したが、将来的には、これらは全てAIが行うようになる。

    1. 住宅の検索とリスティング:Googleの検索製品にとって最初の真の脅威は、BingとChatGPTとの統合によってもたらされるかもしれない。とはいえ、SearchもBingも不動産向けに作られているわけではなく、それがZillow、Redfin、StreetEasyが価値あるビジネスとなった理由の一端を説明している。大がかりな言語モデルを活用し、MLS(MLS )プロバイダーと一体化して、買い手と借り手により確かな結果を提供する機械学習(ML)対応の検索・リスティングエンジンが、大きなチャンスをもたらす。
    2. 不動産仲介業:当社は、不動産には常に仲介業者のコンサルティングが必要だと考えており、個人や家族が住宅購入という人生最大の金銭的決断をする時、彼らは極めて重要かつかけがえのない存在である。しかし、仲介人や仲介業者が提供する多くのサービスは、同じようにパーソナライズされたコンサルティング手法で自動化が可能である。未来の不動産仲介業を支える、AI搭載チャットボットの登場である。
    3. 住宅ローン市場と引受業務:戸建て住宅ローンの市場規模は、米国内だけで13兆ドル超と推定されている(>$13 Tn )。住宅ローンの検索、引受業務は年々良くなってはいるが、改善の余地はまだ大きい。1つは、この業界は、パーソナライゼーションが絶望的に欠如しているという点で際立っている。AIには顧客像を無限に作成、処理する能力があり、より確かな検索・引受業務ソリューションを提供してくれる。
    4. 賃借人および住宅所有者保険:家主や住宅ローンの貸し手は通常、アパートや住宅に入居する前に保険契約を結ぶよう賃借人や購入者に義務付けている。代理店の役割が重要な不動産仲介業者と異なり、AIは保険レイヤー、特に賃借人保険や住宅所有者保険に関連する業務を完全に自動化できると当社は考えている。こうした商品保険は比較的安価で、それほど複雑ではないため、MLを活用したボットが、保険の加入、引受から保険契約管理、保険金請求管理まで、カスタマージャーニーを向上させられる。Lemonadeなどの企業がMaya AIで何ができるのかを垣間見せているが、当社はこの1250億ドル以上の市場でスタート地点に立ったばかりだ($125 Bn+ market )。
    5. 建設の見積もり、入札、資材:2060年までに、世界中には新たに2兆平方フィートの不動産が生まれる(2 Tn square feet of real estate by 2060 )。これは、今後37年間、毎月ニューヨーク市が1つずつ増えていくのと同じことだ!建設業界が今後数年で生み出すデータ量、そして、既存のBIMやBOMモデル、現在の紙やスプレッドシートをベースにした見積もり、入札ツール、それらの技術的高度化について、立ち止まって考えてみてほしい。当社は現場のゼネコンに取って代わるつもりはないが、失礼ながら、AI企業と提携して自社データを活用しないゼネコンは、今後数年間で競争上不利な立場に置かれるということは述べておく。
    6. 持続可能な建設:世界の温室効果ガス排出量の40%は建築界が占めており(40% of global greenhouse emissions  )、今後建設される予定の不動産は2兆平方フィートに上るが、この数字が改善されることはあるまい。建築界からの排出を解決する際の問題の1つは、既存の不動産、つまり既に環境中に出てしまった排出物に対してできることは限られているということだ。建物がまだ設計段階にあるプロジェクト開始時点でサステナビリティーを組み込めば、より効果的な解決策になる。建築家のワークフローにAIを重ね合わせて各シナリオごとの排出量結果を判断し、コスト、ゾーニング、サステナビリティーの優先順位を考慮した提案を行っていくことが、建築界が気候変動と折り合いをつけていく上で重要になるだろう。

    ▽タイミング

    Lunawat氏は「不動産とAIには現在、大きなチャンスがあることを思えば、既存の製品ミックスにAIを加えようとしている従来の不動産テクノロジー企業よりスタートアップの方が、この分野での新会社づくりで有利な立場にあると、当社は確信している」と語った。

    AI革命は、起業家で作家のElad Gil氏が定義した2つのカテゴリーの企業を生み出す。

    1. 今は存在しないが、今後数年で伸びてくるスタートアップによる、大規模言語モデル上に構築されたデノボ・アプリケーション。例:AIを活用した、ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)に優れた新しい不動産検索プラットフォーム。
    2. AI/機械学習ツールを追加して市場競争力を維持、流通も維持していける既存製品。例:Zillowは検索フィードにAIを導入しているが、製品の機能はほぼそのままである。

    不動産テックに関して言えば、Gil氏の定義と業界の既存企業が2022年にどうなったかを見比べてみることが極めて重要である。昨年、不動産テック業界ではレイオフが相次ぎ、各社が体力を温存し、コアサービスに再集中しようとする中、2022年には2021年比300%増の1万人近く(10,000 people )が解雇された。上場している不動産テクノロジー企業17社の指数は、ピーク時の評価額から80%超下落、その多くはごく最近、特別買収目的会社(SPAC)を通じて上場した企業である。

    Lunawat氏は「厳しいミクロ、マクロ状況下で悪戦苦闘を続けている不動産テックの既存企業がいる今、既存のプレーヤーが今年、AIを効果的かつ有意義に導入していく様子を思い描くのは難しい」「当社の分析によると、成熟企業は守りに入り、自社のコアサービスを維持しようとしており、既存製品へのAIの積極的導入は一切しないようだ」と語った。

    そのため、スタートアップにとっては、AIを中心に据えた不動産向けデノボ・アプリケーションをゼロから構築する、またとない切迫した好機が生まれている。この技術は完璧ではないが、猛スピードで成長している。ChatGPT 4.0は今年発売されるはずで、AIにまた新たなパラダイムが開かれるだろう。プログラミング・コードが命令型から宣言型に移行し(10,000 people )、製品サイクルとフィードバックループがかつてない方法で加速化される時代に入った。こうした中で、検索、リスティング、住宅ローン、保険、建設、サステナビリティーにまたがる不動産テックの起業家の前には、1世代に1度のチャンスが広がっている。

    本リポート(This report )は当初、TechCrunchで公開された。

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